ブスも美人も死ねば土

美人もブスもリア充もサブカルも、推してるあの娘が死んだって、等しく土になるんです

「アベサダ:リローデッド」って結局なに?

まずはじめに。

昭和93年(2018年)1月10日から14日、「アベサダ:リローデッド」という劇を行います。

f:id:mikiwo-65:20180107024753j:image

この文章は、美貴ヲの劇をご存知の方はより楽しく観ていただく、はじめましての方は得体の知れない団体の作品を予約するという高いハードルを越えていただくために書いています。

劇中での伏線に関係するネタバレはしていませんが、まっさらな気持ちで劇をご覧になりたい方は、観劇後にお読みください。

☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆

「アベサダ:リローデッド」は、昭和史に残る悪女アベサダと、ラブホテルでお通夜をする女達の物語です。

【あらすじ】
アベサダ本人の手記や供述調書そして当時の著名人の寄稿文から"アベサダ像"を紐解く女子高生と、ラブホで既婚者三股男への想いを断ち切るお通夜を行う女達。昭和93年に、阿部定-女子高生-三人の女が一本の線で繋がる、その瞬間の物語。

f:id:mikiwo-65:20180107024821j:image

f:id:mikiwo-65:20180107024914j:image

時空を超えて、すべからく「女」であるということで、彼女達は共鳴し、破滅と恍惚にむかってひた走ります。

劇をより楽しんでいただくために、まずは阿部定事件の内容と、その時代背景について知っていただくのが一番良いと感じました。

サクッと読めますので、お読みいただき、ぜひ劇場へいらしてください。

【1分でわかる阿部定事件

f:id:mikiwo-65:20180107025310j:image

阿部定は、裕福な畳屋の家に生まれました。少女時代から勝気で遊び好きだった阿部定は、まだ十代の頃から家のお金を持ち出しては男と遊び暮らし、業を煮やした父親に置屋に売られて芸妓になり、やがて遊女や愛人などをして身を立てるようになります。

『先生』と慕う生真面目な愛人からまっとうな暮らしをするよう諭された阿部定は、小料理屋をはじめるための勉強として、料理屋に住込みの女中として勤めることにしました。ところが、その料理屋の主人こそが、のちに阿部定に殺害される石田吉蔵だったのです。

一つ屋根の下で愛人関係になった阿部定と吉蔵は、次第に大胆になり、やがて正妻の知るところとなります。そして二人は、あちこちの待合旅館(今で言うラブホテル)を転々とする愛欲の日々へ没入していきました。

来るべくして来た昭和 11 年 5 月18日、阿部定は、東京都荒川区にある待合旅館「満佐喜」で、吉蔵 の首を絞めて殺し、その局部を切り取り逃亡しました。そして三日後、逗留先の旅館で逮捕されました。これが、俗にいう「阿部定事件」です。

ちょうど同じ年、二・二六事件 が起き、軍ファシズムが急激 に存在感を増し、時代は大きく戦争へと舵を切りました。そのような重苦しく暗い社会に、突然、『美しい遊女のチン切り』が起きたため、人々は久しぶりの明るい話題としてこの事件に熱狂しました。阿部定には400通もの結婚の申込がきたと言われています。

☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆

【当時と現在の類似点、そして想うこと】

初めて阿部定事件の資料を読んだ際、事件当時の政治や社会情勢が、今の社会情勢とかなり似かよっているように感じました。

不景気への苛立ち、お互いを監視しあう息苦しさ、戦争への不安が日に日に具体化していく恐怖。

そういう溜まりに溜まったフラストレーションを発散させるかのように、センセーショナルな殺人事件を娯楽として消費するような風潮。

などなど、自分の皮膚感覚で思い当たる共通点がたくさんあります。

今回の劇では、このような、当時と現代の世相の類似についても取り上げています。

また、当時の著名人達によって、阿部定事件阿部定本人を考察した寄稿文が数多く書かれています。

『自分の考えの正しさを主張するために、他人の人生や言葉を勝手に解釈して引用する』『本人の気持ちを無視して、自分が見たいファンタジーに当てはめて消費する』という行為は、SNSの台頭よりずっと以前から行われていて、それに阿部定は生涯ずっと翻弄され続けた女性なのだと感じました。

☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆

【お通夜をする女達】

劇中、アベサダと吉さんの恋物語と並行して、三人の女達がラブホテルでお通夜を執り行います。

優しい彼氏が実は既婚者で、しかも浮気相手は複数、それを正妻からの電話で知った彼女達は、彼を死んだと見なすことで自分の気持ちを弔おうとします。

アベサダとWヒロイン、もう一人のヒロイン『ラブホテルでお通夜の喪主をする女』は、私の友人でユーモアセンスが突き抜けているMさんがモデルになっています。

もちろん彼女に許可を得た上で、しかも稽古場に遊びにも来ていただき、皆で彼女の話を聞いたりもして、この劇を作りました。

現実は劇より劇的で、彼女の鮮烈なお弔いを舞台上に再構築することで、彼女が喪主のお通夜に末席で参列させてもらっています。

ついついバランスを取って逃げを打ちたくなりがちですが。

アベサダとMさん、二人のヒロインの純愛を通して、『自分の気持ちにケリをつけるのは自分なのだ』ということの大切さを再確認するために、この劇を作りました。

☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆

ここまでお読みいただき、ありがとうございました。気になって下さった方はぜひ劇場へいらしてください。

ご予約、まだまだお受付中です!!

美貴ヲの劇
「アベサダ:リローデッド」
昭和93年1月10日(水)〜14日(日)
12日のみ緊縛有り特別公演

下北沢OFF・OFFシアター(駅徒歩30秒)
上演時間約75分(緊縛公演約90分・各イベント約10分)

詳細・ご予約

f:id:mikiwo-65:20180107030240j:image

12日のみ、緊縛師 有末剛先生をスペシャルゲストにお迎えして劇中で緊縛を行う特別公演を行います。19時半回が完売、14時回も残りわずかです、お急ぎでのご予約をオススメいたします。

10日19時半プレビュー回、14日17時千秋楽イベント回もお席だいぶ埋まってきております。
ゆったりご覧になりたい方は11日にぜひ。終演後の役者さんのご挨拶も、おそらく他の日よりゆっくり出来るかと。

f:id:mikiwo-65:20180107025404j:image