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お山の大将系クズは逆トゥルーマンショーである

『お山の大将系クズは逆トゥルーマンショーである』

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もし、あなたが、お山の大将系クズに傷つけられて、とても悲しい思いをしていたら。

そして、費やした愛情や時間やお金について、自分自身をひどく責めていたり、逆に、あいつを殺してやろうと夜な夜な計画を練っていたら。

ぜひ、これから提案する説を思い浮かべながら、「トゥルーマンショー」のDVDを観てみてください。

彼らの行動の不可解さが、あなたの未練や痛みと繋がっているので、そこが理解出来れば、あなたを傷つけたクズは路傍の石に変わります。

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はじめに。

"お山の大将系クズ"とは。

ごく狭い世界のカリスマで、周りをTHE太鼓持ちの後輩で固めることを好み、交際相手は何をおいても自分の用事を最優先して当然、もちろんその逆はありえない、というタイプのことです。

あなたの周りにも、思い当たる人が一人はいませんか?

わたくしは彼らのようなタイプに最近まで捕食されっぱなしの人生を送っていました。

幸いにもスッパリ縁を切ることが出来ましたが、気づくまでにかなりの年月を費やしてしまったので、せっかくだから、彼らのような人達のことをしっかり言語化することにしました。

これは、呪いや糾弾のような目的ではなく研究の成果発表ですので、どうぞ、ごゆるりとお読み下さい。

では、"お山の大将系クズは逆トゥルーマンショーである説"(以降"逆トゥルーマン説")を順番に検証していきます。

流れ上、どうしても、映画「トゥルーマンショー」のあらすじに触れなくてはいけないので、未見でネタバレが嫌な方は、この先は、ぜひDVDを観てからお読み下さいませ。

☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆

とてもざっくりした「トゥルーマン」のあらすじ

映画の主人公トゥルーマンは、生まれてからずっと小さな島に住み、平凡な人生を送っていました。

しかし、実は、彼の人生は生まれた時から24時間撮影されていて、島民は彼以外の全員が役者、リアリティーショーとして全世界に放送されていたのでした。

ある事件をきっかけに、彼は自分の生活に違和感を覚え、やがて、島全体が自分のための大掛かりな虚構、舞台装置であることに気づきます。

虚構の世界から脱出しようとするトゥルーマンを、番組のプロデューサーは引き止めますが、彼は拒み、番組のセットの外、現実の世界へ旅立っていったのでした。

☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆

では、具体的に検証していきます。

サンプルは、美大を卒業して、演劇と現代美術に携わっている「夢追い人ゴールデンコース」を歩むわたくしが関わってきた、同業のお山の大将系クズ達です。

皆さま、それぞれのご職業に応用して想像してみてください。

〈閉じられた世界に住むこと〉

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トゥルーマンは、自分の意思と無関係に、物心がつく前から、島民全員が彼の為に用意された役者という、偽りの物語の中に住んでいました。

対して、お山の大将系クズは、腰巾着でいることが居心地よいタイプの後輩を従え、コントロール可能なタイプの女性を交際相手に選び、自分や後輩達とつるむことをステータスに感じる異性をグルーピーに仕立て……そうやって、都合のよい人間だけを自らキャスティングした、偽りの物語の中に住んでいます。

そして、彼らには、自分の支配力がハナから及ばないタイプの相手や、畏怖を感じる相手に対しては、一切自分の物語の設定を強要せず、そこに自己矛盾がまったく発生しないという便利な切り替えスイッチ機能が搭載されています。

〈自分が主役であること〉

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トゥルーマンは、自分が、小さな島を舞台としたリアリティーショーの主役だということに気づいていません。

対して、お山の大将系クズは、偽りの物語の中で、『自分が主役であり、そこに存在する人間は、自分のための脇役かスタッフである』という概念で生活しています。

身勝手な要求を突きつけるのは、意地悪ではなく、彼らの中では、魚に足がないのと同様に、『そういうことになっている』からです。

ですから、他人の予定や体調、感情を気遣わないことについて、『どうして?』と質問した場合、悪意があってそうしている人からは自分を正当化した反論がなされるでしょうが、彼ら相手では禅問答にしかなりません。

そして、華やかな成果発表のための地道な作業や、身の回りの煩わしい雑用などを、後輩や交際相手に命じ、その態度や結果が気に食わなければ、怒鳴り散らしたりすることは、彼らにとって当然なのです。

同様の概念によって、自分がやらせたことと同じことをその相手から望まれた場合、なんの躊躇いもなく拒絶したり、とても失礼なことを言われたかのように怒り狂ったりするのです。

もし、今、あなたが、お山の大将系クズとお付き合いしていて、『彼は口では色々言っていても本心では自分を思ってくれているはず』や『彼が成功したら、辛い時期を支えた妻として、大事にしてもらえるし金銭的に楽もさせてもらえるはず』など思っていたとしたら。

それは、ないです。

なぜなら、彼らの横暴な振る舞いは、上のような事情によるものなので、金銭の余裕や加齢で改善されるものではないからです。

岡田斗司夫が、『自分以外は犬か虫に思える』と平然と言い放ったことも、彼が同類だからだと思っています。

岡田氏しか得をしない謎の小さなコミュニティの王様をしていらっしゃいますし。

また、THE虎舞竜の高橋ジョージ氏が、妻が転居先を隠して代理人を立てて離婚手続きをしていることを、「夫婦喧嘩の延長だと思っている」と、本気で戸惑いながら話したこともそうです。

物語の従順なヒロイン役が、キャスティングプロデューサーの自分の許可なく降板するなど、あり得ないと信じ切っているのだと感じました。

ではここで、些末な例ではありますが、実際にわたくしがお山の大将にお仕えしていた時のことを書きます。

彼は、外出前に何度も服を着替え、その都度、そのコーディネートについての(帽子の角度に至るまで)事細かなアドバイスをわたくしに求めました。

……但し、自分の気分が良くなるもの限定で。

そして、アドバイスの内容が気に食わなかったり、わたくしが親身になっていないと感じられたら、強い口調でなじられました。

いつしか、わたくしのアドバイスの基準は、彼のコーディネートの良し悪しではなく、それまでの経験で彼が気に入ることを知っているワードをいかに上手く組み合わせるかになりました。

なるべく少ない着替えの回数で満足させること、怒鳴られないようにすること、それがわたくしの目的になったからです。

第三者がその様子を見たら、「この女はなんてわざとらしいお世辞を言っているんだろう」と感じたことでしょう。

お山の大将の周りにいる人はおべっか使いばかりに見えるのは、こういう理由もあるのです。

〈外部の価値観との対峙〉

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トゥルーマンは、両想いの女性から、彼が住んでいる世界はまやかしだと告げられ、当たり前に過ごしていた自分の生活のおかしなところに気づき、外の世界へ飛び立っていきました。

逆に、お山の大将系クズは、現実世界からやってきた恋人や新しい知人から、自分の住む虚りの物語を否定された時に、悪意を持った侵入者として徹底的に排除します。

自分が主役の物語の中でずっと心地よく暮らしていたい彼らにとって、「そんな世界は本当は存在しない」と言い切る新たな登場人物は脅威で、それと同時に、主役を立てないポンコツの脇役です。

ですから、キャスティングプロデューサーでもある彼らは、その登場人物を、突然、物語から追放するのです。

橋田壽賀子先生に逆らって、ドラマの中で唐突に死んだり遠くへ引っ越したりする登場人物と同じことです。

そして、彼らは、面と向かって、異邦人の侵入者に追放を言い渡すことはありません。

「もう友好な関係が無になるならば」と、侵入者から、彼らが目を逸らし続けている現実世界との齟齬について、ズバズバと指摘されることを非常に恐れているからです。

音信不通を決め込んだり、THE太鼓持ちやグルーピーの異性に侵入者の悪口を吹き込むなどして、話し合う機会など与えずに、物語から締め出します。

またここで、わたくしの些末な例をひとつ書きます。

当時交際していたお山の大将のお部屋に泊まった時のことです。

早朝5時に、彼の浮気相手が突然襲撃をしてきました。

鳴り止まない玄関のピンポンと、ドアノブをひねっては体当たりをするガチャガチャ、ドーーーーン!!!という激しい音は一生忘れられません。

彼が自分に都合のいいように誤魔化しながらわたくしに話したことから想像すると。

彼はその女性と、わたくしの存在を隠して一ヶ月ほどお付き合いをしていました。

彼女が自分に従属するようであれば、影で自分を支えることに徹さずに自ら作品づくりをする「非協力的な」わたくしと、差し替えるつもりだったようです。

けれど、彼の威嚇に怯まず怒鳴り返してくる彼女を、自分が支配出来ないタイプだと悟り、突然、音信不通決め込み、それに業を煮やした彼女が、絶対家にいる時間を狙って襲撃してきたようでした。

そんなに気の強い女性を無視したらどうなるか、ちょっと考えればわかりそうなものなのに……。

彼女の気持ちからしたら、とてもひどい仕打ちですが、彼の思考回路からしたら、侵入者であり設定に従わない端役との別れの場面など物語上不要なので、誠意のある対応など望むべくもないのでした。

〈新たな世界への旅立ち〉

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ラストシーンでトゥルーマンは、自分のいわば親のような存在である、番組の総合プロデューサーと対決します。

プロデューサーは、作り手の歪んだ親心と支配欲から、彼に島に留まるように強く迫りますが、トゥルーマンはそれを拒否し、外の世界へ出て行くのです。

対して、お山の大将系クズは、未知の世界へ、たった一人で飛び込んでいくようなことは、恐ろしくて到底出来ません。

なぜならその行為は、彼らがずっと目を逸らしていること、現実をしっかり受け止めて第一線で活躍している同世代の人達、(中には、かつて自分よりずっと後ろを歩んでいた人も大勢いる)と、評価されない狭い世界へ逃げ込んだ自分との差を、目の当たりにしなくてはいけないからです。

彼らは、トゥルーマンショーのプロデューサーのような、親のように無償の愛を提供してくれる権力者がある日突然現れて、彼自身だけは何も変わらないまま、彼の周りはそっくり煌びやかなものに変えてくれると信じて疑いません。

それはまるで、前時代のディズニープリンセスのようで、いつか王子様が現れるのを、今か今かとただ待ち望んでいるのです。

『自分の知らない誰かが、自分を見初めて高いステージへ一気に引き上げてくれる』という妄想は、夢追い人に限らず、どの職種のお山の大将系クズも、皆抱いている願望だと思います。

〈彼らはのさばり続けるのか〉

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結論から言えば、わたくしの考えでは、イエス、です。

この世には勧善懲悪などそうそうないし、彼の物語の中に居心地よく住んでいられる人達にとっては悪人ではないからです。

お山の大将であり、物語の主人公になれる程度のカリスマ性や実力は持ち合わせている彼らは、外面はなかなか魅力的な人なのです。

普通の大人なら当然持ち合わせている分別や常識が全くない彼らの、便利なワード「少年の心を持っている」がぴったりくる自由すぎる振る舞いは、しっかり大人になってしまった人の目には眩しく映ることでしょう。

ただし、それは、彼らの外面だけしか見る必要がない浅い距離感の人達と、彼らの物語の登場人物になる資質がある人達だけに有効な魅力です。

ところで、彼らの物語には、目上の人は、あまり登場しません。

〈閉じられた世界に住むこと〉で、彼らには、便利な切り替えスイッチ機能が搭載されていることを記しましたが。

彼らの切り替えスイッチの性能は、所詮、支配力が及ばない相手に自分の物語のルールを強要しないというところまでで、そういう相手に、身内に理不尽に振る舞う自分の姿を見せた場合にどう思われるか、を想像する機能はありません。

あまつさえ、それがかっこ良いと思って、ある種パフォーマンス的に、自分を大きく見せたい相手の前でわざとそうして見せる場合すらあります。

そういう彼らの様子を見て、良識のある目上の人達や、彼らの支配力の及ばないタイプの人達は、上辺だけのお付き合いに留めようと心の中で決めるのです。

けれど、彼らは、そういう機微には気づけないので、一度仕事をした目上の先輩あるいは集団から、再度の仕事のオファーや遊びのお誘いがこないことや、スーパープロデューサーが自分に目をつけないことを、心底不思議に感じています。

わたくしが、彼らがのさばりつづけることに、イエス、と言ったのは、物語は、彼らが天に召されるまで規模を変えつつ継続する、という意味で、それが、彼らの望むような展開になり得るとは考えていません。

たとえ、一度は大きな成功を手にしたとしても、その後は身の丈以上のものは残らないでしょうし、逆に言えば、たとえどこかの社会集団で立場を追われたとしても、また別の場所のお山の大将になり、偽りの物語の世界を再構築することでしょう。

〈永遠の離れ小島〉

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トゥルーマンは、自分の生まれ育った故郷が、全て自分が主演するリアリティショーを成立させるための舞台装置だったことに気がつきました。

海は波の出るプールで、街は巨大なセット、善き伴侶や親友や隣人は番組の意向に沿って演技をする役者でした。

あなたを傷つけたお山の大将は、そういう偽物のセットと、面倒なことにならないように演じている他人しかいない小さなコミュニティ、偽りの物語の中で、いつまでもいつまでも、実現することのないスーパープロデューサーによる豪華絢爛なセットへのセットチェンジを待ち続けている人なのです。

彼らの物語は、彼らの思い込んでいるサクセスストーリーではなく、無いものを有ると思い込んでいるおかしな男のホラーコメディなのです。

そんな滑稽な男は、傷ついたり憎んだりしてあなたの多くの時間を費やすほど魅力的でしょうか?

ビール片手に「トゥルーマンショー」を観て、すっきり腑に落としてしまいましょう!

おわり。

美貴ヲ

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■美術家/作家(演劇脚本など)■コント脚本提供 順風女子コント公演『春ベリー』3/13(金)~15(日)@しもきた空間リバティ■書いたり描いたりするお仕事をください!

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